心臓血管外科

心臓血管外科 部長あいさつ

心臓血管外科部門は、虚血性心疾患・弁膜症・大動脈疾患・末梢血管疾患を中心に、成人心臓血管外科全領域に渡って高度な診療を行なっています。さらに近年の心臓血管外科領域も低侵襲化が進んでおり、当院でも最先端の低侵襲手術を積極的に導入し、良い成績を収めています。術前の適応決定、術後の治療も循環器内科医と心臓血管外科医がひとつのになりハートチームとして行っています。なにか御不明な点、質問がありましたらいつでもお気軽にご連絡ください。

心臓血管外科 担当部長あいさつ

『手術が必要』と診断された患者様への私たちの使命は ①研究に証明された適切な治療法にもとづき ②適切なタイミングに ③豊富な経験と高い技術をもつ心臓血管専門スタッフが一丸となって ④患者様にご納得いただいた上で手術をお受けいただき ⑤出来る限り早期の自宅退院・社会復帰を目指すことです。このため通常の心臓大血管手術に加え、低侵襲(体のダメージが少ない)心臓大血管手術として高精細な3Dカメラを用いた完全3D胸腔鏡(内視鏡)下心臓弁膜症手術・3D胸腔鏡補助下冠動脈バイパス術・経カテーテル大動脈弁置換術・ステントグラフト挿入術など多岐にわたる選択肢をご用意しています。一方で、低侵襲手術が最適ではない患者様もいらっしゃいます。その場合も理由をしっかりご説明させていただき、患者様それぞれの状況と今後の生活スタイルに合わせ、最良の治療をご提案させていただきます。詳しくは低侵襲心臓手術スペシャルサイトをご覧ください。

虚血性心疾患とは

虚血性心疾患は狭心症・急性心筋梗塞症などのことをいいます。

虚血性心疾患の原因

心臓の表面を流れる冠動脈という血管が、心筋に血液を運んでいます。この冠動脈の血管の壁にコレステロールがたまって血管の内側が狭くなる動脈硬化の症状を起こすと、その進行により、心筋の運動に必要な酸素と栄養を運ぶ血液の流れが不十分になります。この状態を虚血と言います。

虚血性心疾患の症状

虚血を起こすと、一時的な胸の痛みや圧迫感を感じるようになります。これが狭心症です。胸に痛みを感じます。冠動脈がさらに狭くなってふさがってしまうと、血流の減少から心筋の細胞がエネルギーを絶たれ死滅、壊死し、急性心筋梗塞症という状態になり症状も強く長く続きます。

虚血性心疾患の検査

虚血性心疾患の検査には心臓カテーテル検査がおこなわれます。カテーテルという細い管を足の付け根や肘の動脈にいれ、心臓まで通し、冠動脈造影や心内圧測定をおこないます。特に冠動脈造影は重要な検査で、冠動脈の狭まりや閉じている部分を確認し、この結果をふまえて、治療方針が決定されます。

虚血性心疾患の治療方針

1. 当院ではハートチームにより治療方針を決定しています。
内科的治療として薬物療法ならびにカテーテル治療。外科的治療として冠動脈バイパス術が挙げられます。当院では内科と外科とのカンファレンスにより最適な治療法を決定しています。

2. 当院ではオンポンプバイパス術とオフポンプバイパス術を症例に応じて柔軟に使い分けています。
人工心肺使用有無によって2種類に分けています。人工心肺装置を使用したオンポンプバイパス術と人工心肺を使用しないオフポンプバイパス術です。
 
3. 症例によっては小切開による3D胸腔鏡補助下低侵襲冠動脈バイパス術(MICS CABG)も行なっております。

弁膜症とは

心臓には4つの部屋があり、それぞれ「右心房」「右心室」「左心房」「左心室」といいます。全身から心臓に戻ってくる酸素の少ない黒い血液(静脈血)は、まず部屋のひとつの右心房に入ります。次に静脈血は右心室という部屋に入り、肺に送られます。肺で酸素を取り込んで赤くなった血液(動脈血)は、左心房から左心室を経由して大動脈から全身に送られます。このように血液はこれらの部屋を流れて行きますが、一方通行で流れるために部屋と部屋との間に弁(一方弁)が合計四つあります。右心房と右心室の間の弁を「三尖弁」、右心室と肺動脈の間の弁を「肺動脈弁」、左心房と左心室の間の弁を「僧帽弁」、左心室と大動脈の間の弁を「大動脈弁」といいます。

これらの弁は心臓の収縮拡張に従って開いたり、閉じたりして血液がスムーズに、しかも逆流することなく流れるように手助けしています。しかし何らかの原因によって弁の開きが悪くなり、血液がスムーズに流れにくくなったり、あるいは弁の閉じ合わせが悪くなったりして血液が逆流することがあります。これが弁膜症といわれる病気です。弁の開きが悪くなり、血液が流れるのに余分な抵抗がかかる状態を狭窄症、弁の閉まり具合が悪くなり逆流が出る状態を閉鎖不全症といいます。一つの弁で両方の病態が存在する場合もあります。そのときは狭窄兼閉鎖不全症ということになります。

弁膜症の原因

 弁膜症の原因は、リウマチ熱の後遺症、加齢に伴う変化、二尖弁など大動脈弁そのものの変化から生じるもの、大動脈の病気によるものと様々です。

弁膜症の症状

 弁膜症の症状として、心不全の症状である、胸痛や失神、息切れ、足のむくみなどさまざまな症状があらわれます。

弁膜症の検査

 弁膜症の検査は、心エコー検査によって簡単におこなえます。

弁膜症の治療方針

1. 大動脈弁に関しては置換術と形成術を施行しています。症例によっては3D胸腔鏡による小切開低侵襲手術(MICS)を約4cmの術創で施行しています。大動脈弁形成が可能と判断された場合は形成術を行うこともあります。この場合は正中切開になります。

2. 僧帽弁に関しては形成術を積極的に施行しています。小切開での3D完全胸腔鏡下低侵襲手術を積極的に行なっており、主たる手術創は3~cmで施行しています。症例により正中切開で行うこともあります。詳しくはこちらへ。

3. 経カテーテル的大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic Valve Implantation: TAVI)も施行しております。人工心肺が全く不要という点で、症例を選べば患者さんに大きな利益があります。詳しくはこちらへ。

大動脈疾患とは

大動脈とは心臓から送り出された血液が最初に流れる血管を指します。 大動脈瘤、大動脈解離、大動脈狭窄(閉塞)が大動脈疾患にあたります。大動脈瘤は大動脈が大きくなり瘤(こぶ)となった状態です。大動脈解離は、大動脈の壁を構成する膜の内側がはがれた状態で、大動脈狭窄(閉塞)は大動脈が途中で細くなっていたり、詰まっていたりした状態です。

大動脈疾患の原因

大動脈疾患の原因として、動脈硬化、炎症、生まれつき血管が弱いマルファン症候群や、外傷があげられます。

大動脈瘤は「大動脈壁の一部の全周、又は局所が拡張した状態」のことを指し、直径が正常径の 1.5 倍を越えた場合に「瘤」と称しています。現時点では大動脈瘤の治療薬は存在せず、根治は手術以外になく、種々の理由で手術が困難な場合、血圧コントロールでの保存的治療で破裂を予防することがあります。

大動脈疾患の症状

大動脈疾患の症状として、大動脈瘤ほとんどが無症状で、検査で偶然見つかることが多くあります。破裂の前ぶれとして動脈瘤がある部分に痛みを感じることがあります。大動脈解離の発症は突然で、胸や背中に激痛がおこります。ショック症状を起こしたり、脳梗塞・心筋梗塞、内臓や手足への血流が途絶えたりすることもあり、突然死の原因となります。大動脈狭窄は、大動脈が細くなった先への血流が少なくなることで、運動時に痛みを感じることがあります。

大動脈疾患の検査

大動脈疾患の検査にはCTを用います。

大動脈疾患の治療方針

1. 体の負担が軽いステントグラフト治療に対応しています。
2. 人工血管置換術にも、豊富な経験で対応します。
3. ステントグラフト治療と人工血管置換術とのハイブリッド治療も行えます。
4. 手術法の選択は担当医と相談の上、患者さんの希望も反映されます。

クリニカルパス

当院では、クリニカルパスを導入しています(日本クリニカルパス学会法人会員)。 クリニカルパス(clinical path)とは『疾患別の入院治療計画』のことで、予め入院計画表を患者さんに渡し、入院から退院までの経過がわかるようになっています。
当院のクリニカルパス委員会は、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・臨床検査技師・医事課のメンバーで構成され、患者さんへのサービス向上・チーム医療の促進・安全な医療提供が行えるように努めています。

担当医師

飯田 充 いいだ みつる

心臓血管外科部長
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松濱 稔 まつはま みのる

心臓血管外科 担当部長
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堀 貴行 ほり たかゆき

心臓血管外科 医長
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國原 孝[非常勤] くにはら たかし

東京慈恵会医科大学 心臓外科教授
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在國寺 健太[非常勤] ざいこくじ けんた

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