心不全部門では、3名の常勤医師で、心不全患者さんの診療をおこなっています。心臓超音波検査、心肺運動負荷試験や核医学検査などの高度な診断方法を用いて心不全の状態を把握いたします。治療に関しては、薬物療法のみならず、合併する狭心症や心筋梗塞、不整脈や弁膜症も当該部門と協力して治療に当たります。
当院での心不全診療の特徴は、医師のみならず、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士も診療に参画し、全人的な治療を推し進めていることです。入院中にそれぞれの心不全スタッフから生活や服薬の指導を受けて頂くのみならず、外来においても心不全スタッフが治療継続のサポートをおこなっています。
心不全とは、心臓がポンプとしての働きを果たせなくなった結果、起きた体の状態を言います。血液は酸素と栄養を体の各部位に運ぶ役割を持っていますが、その血液を循環させるポンプの機能を持っているのが心臓です。
心臓は必要な量の血液を送り出す働きと、受け取る2つの働きをしていますが、何らかの原因によりその働きが落ち、ポンプとしての機能が低下すると、心臓が送り出す血液の量が少なくなります。このとき、人間の体は送り出す血液の量の低下を食い止めようとし、心臓や肺をめぐる血液の量を増やすために手足の血管を収縮させたり、1回の脈拍で送り出す血液の量の低下をおぎなうために脈拍数を増加させたりします。
これらの手段により、一時的には送り出す血液量は保ったとしても、長期的にはかえって心臓の負担が増大しポンプとしての機能が低下し、心不全の症状が現れてきます。
心不全で現れる症状は、心不全の原因とそれによる心臓の機能低下の程度によって異なりますので様々です。酸素と栄養を運ぶ血液がいきわたらなくなったために、疲れやすくなったり、だるさを感じたり、動悸を覚えたりといった症状があらわれたり、血液のめぐりが悪くなってとどこおり、うっ血をおこした部位によって、肺のうっ血であれば息苦しさを感じたり、肝臓のうっ血であればおなかが張ったりといった症状があります。
従来の運動負荷検査は、運動中の心臓のみを心電図と血圧測定によって調べ、異常がないか異常の程度がどれくらいかを把握しどの程度の運動まで安全に行えるかを評価するものでした。
当院で実施する心肺運動負荷検査(CPX)は、自転車エルゴメータまたはトレッドミルで心臓と肺に負荷をかけながら、顔に装着したマスクをもちいて呼気ガスの分析をおこなうことで、運動中の心臓だけでなく肺も検査することができます。運動中の心臓にとって最も重要な役割を果たす器官は酸素を運ぶ肺です。CPXによって心肺をあわせて検査することで、より詳細なデータが得られ正確な異常の把握ができ、安全な運動の程度について精度の高い評価が行えます。
心不全を有する患者さんの場合、CPXにより心不全の重症度の評価も可能です。心臓リハビリテーションを行う患者さんにとっては、個々の患者さんの病状に応じた「日常行うべき適度な運動の強さと量」の適切な設定が可能です。
心臓リハビリテーションは、心臓の手術を受けた患者さんや狭心症・急性心筋梗塞発症後の患者さんに対して運動療法を中心に、心臓やからだの機能の回復と手術後・発症後の経過をよりよいものとすることを目的として行う保険で認められた治療です。
心臓リハビリテーションは比較的新しい治療法ですが、最近多くの医療機関で導入されつつあります。また最近では、回復の見通しの良くない拡張型心筋症などが原因で心不全の症状がでている患者さんに対して心臓リハビリテーション行ったところ、病状の改善に効果があったという例が数多く報告されています。
近隣の医療機関からも心臓リハビリテーション適応の患者さんを数多くご紹介いただいています。なお、当院では、上記の病気以外でも、生活習慣病など適切な運動が心臓病の予防に必要と判断される患者さんに対しては、積極的に運動指導を行っています。
当院では、クリニカルパスを導入しています(日本クリニカルパス学会法人会員)。クリニカルパス(clinical path)とは『疾患別の入院治療計画』のことで、予め入院計画表を患者さんに渡し、入院から退院までの経過がわかるようになっています。
当院のクリニカルパス委員会は、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・臨床検査技師・医事課のメンバーで構成され、患者さんへのサービス向上・チーム医療の促進・安全な医療提供が行えるように努めています。現在使用しているクリニカルパスは以下のものです。
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