心臓血管手術と輸血について
上記のような副作用を避けるために、以下のような対策を当院では採っています。
1.出血量を少なくし、不必要な輸血は行わない →GVHDの発生頻度が下がります。
2.自己血輸血を極力行う →無輸血手術の確率が高くなります。
3.血縁者からの輸血はしない →家族の方からの輸血はGVHDの発生する確率が高くなり危険なことが判っています。
4.新鮮血輸血をさける →今までも極力保存血を使用しました。
5.輸血用血液の放射線照射 →リンパ球を抑制し、GVHDの発症を予防します。
(A)方法と期間
自己血貯血を行うに当たり、いくつか考慮しなければならない点があります。
1.貧血の有無:貧血の患者さんは治療してからでないと採血できません。貧血の程度によっては貯血が不可能な場合もあります。貧血の治療法には 造血剤の服用、造血ホルモン(エリスロポエチン)の注射などがあります。貯血の経過中に貧血が進行した場合も(ヘモグロビン濃度が低くなったら)造血ホルモンの注射を行います。
2.保存期間:採血した血液の保存期間は3週間です。これは自己血も日赤の献血血液も同じです。したがって手術日よりさかのぼって計画的に貯血を行います。
3.貯血の頻度:原則として、1週に1回400mlの採血を行います。体格が小さいと、200~300mlとなる場合もあります。
4.貯血量:上記の制約から、計3回で1200ccの貯血が目標です。もちろん、体格や貧血の程度で、600ml~1200mlの幅ができます。
5.外来貯血:原則は、外来通院していただきながら(通常は、術前検査も行いながら)貯血します。もちろん、入院して貯血する場合もあります。
6.一般的注意:十分な睡眠と食事をとるようにしてください。採血時にふらつき・めまい・狭心痛を起こされた方が少数おられます。エリスロポエチンの副作用は極めて少ないといわれていますが、一過性の血圧上昇、身体の熱くなる感じを訴えた患者さんがいらっしゃいました。採血後は、しばらく安静にしているようお願いします。なお、貧血のためにすぐには採血が出来ない場合、時間をかけて貧血を改善してから、手術の準備に入ることがあります。この場合、待機期間が長くなります。
手術を早い時期(緊急手術など)に行わなければならない患者さんの場合など、自己血貯血が出来ないことがあります。この場合でも、できるだけ他家血輸血を避ける努力をいたします。
その方法としては、
1.手術室で採血する希釈式自己血輸血
2.術中の出血した血液を洗浄して輸血する術中回収式自己血輸血
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