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疾患と治療に関するQ&A

虚血性心疾患

冠動脈バイパス術(CABG)とは、どんな手術なのですか?

虚血性心疾患の冠動脈の狭い部分は血液の流れが悪くなっています。閉鎖している部分もあります。道路に例えれば交通渋滞・通行止めの状態です。交通渋滞に対しては、渋滞箇所の整備・拡張工事や迂回路を造る道路工事がなされます。 冠動脈も原理は同じで、カテーテル治療では狭くなった部分を直接拡張したり削ったり、狭窄予防にステントという特殊な管を入れたりすることで、また冠動脈バイパス術では新たに別の血管(グラフト)を狭くなった部分の先に吻合することで、狭くなった部分以降の冠動脈へ血液を流し心筋への血液量の増大をはかるのが目的です。

種々の血管をバイパスの材料(グラフトと言います)として用いますが、どの血管を用いるかは皆さんの状態を考慮して決定し手術前にご説明いたします。

内胸(ないきょう)動脈

胸骨(胸の前面、真ん中で、左右の肋骨が合流する幅5cmほどの板状の骨)の裏側(内側)を走行します。左右内胸動脈の2本があります。左内胸動脈はほぼ全ての患者さんで用います。

撓骨(とうこつ)動脈

腕の親指側の血管(皆さんが脈を診るときに触れる動脈)です。通常、利き手の反対側を用います。腎障害のある患者さんでは将来の人工透析時に用いることが多いので、用いないのが一般的です。

胃大網(いたいもう)動脈

胃を栄養する動脈の一つで、胃は基本的に5本の動脈で栄養されていますので、一本の動脈をとっても血流に問題は生じません。胃は横隔膜一枚を隔てて心臓のすぐそばに接しています。

大伏在(だいふくざい)静脈

下肢(足)の内側をくるぶしから足の付け根まで走る静脈です。これらの血管はバイパスに使用するため採取しても、特に悪い影響は残しません。しかし、グラフトとしての耐久性には差があり、内胸動脈の方が長持ちすることがわかってからは、内胸動脈を中心としたグラフト選択がなされるようになっています。吻合操作は、径1.0~2.5mmぐらいの血管同士(冠動脈とグラフト血管)を細い針と糸で縫い合わせる操作となります。細かい操作ですので、通常2~4倍の拡大鏡を用いて手術操作を行います。


今でも当院では、人工心肺装置を用いて心臓を止めた状態で行う冠動脈バイパス術及び、心臓を止めないで行う『心拍動下冠動脈バイパス術手術(OPCAB)』を使い分けています。

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