心臓病の治療について知る

狭心症の薬の原料はダイナマイトと同じ?ニトログリセリンの特徴と作用について

狭心症の方が発作時に服用するニトログリセリン。
実はニトログリセリンは、ダイナマイトと同じ原料で作られているお薬なのです。

なぜ火薬と心臓病の薬が同じ原料でできているのでしょうか?

今回は、ニトログリセリンというお薬の特徴と作用についてご紹介します。

ニトログリセリンとは

狭心症の重要な薬

薬袋とおくすり手帳の写真

ニトログリセリンとは、主に狭心症の方が発作時に服用するお薬です。

舌下という、舌の下に含んで溶かすことで服用します。
服用から1〜2分ほどで効果が見られることもあり、外出時の急な発作の際に助けてくれる、重要な役目を持っています。

狭心症は冠状動脈と呼ばれる血管が詰まったり細くなったりすることで、一時的に胸痛を引き起こす病気です。

ニトログリセリンを服用することで冠状動脈と全身の静脈が拡がり、発作を抑えることができます。

現在では狭心症患者の命を救うニトログリセリンですが、薬として活躍する以前は爆薬の原料として主に使用されてきました。

ダイナマイトの原料

ダイナマイトといえば、アルフレッド・ノーベルですよね。
彼がニトログリセリンという有機化合物を使用して、ダイナマイトを発明しました。

大病とのイラスト

その当時、ダイナマイトを生産する火薬工場に勤める作業員から「休暇明けの仕事でひどい頭痛やめまいが起こる」という苦情が多くでました。
しかしその一方、狭心症を患う作業員からは「家で起こる発作が、工場では起こらない」という声がありました。

この二つの症状を聞いた医師がニトログリセリンの研究を進め、血管を拡張させる作用があることを突き止めたと言われています。

血管を拡張されたことで健康な作業員は頭痛やめまいを引き起こし、狭心症を患う作業員は発作がおさまっていたのですね。

なぜ血管を拡張させる作用があるの?

血管にどう作用しているのか。
このことはダイナマイト発明以後長い間解明されていませんでした。

しかしニトログリセリンが血管拡張のシグナル伝達物質を作り出すメカニズムが判明し、1998年に研究に携わったロバート・ファーチゴット博士、ルイ・イグナロ博士、フェリド・ムラド博士がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

ニトログリセリンは加水分解されることで硝酸ができ、それがさらに還元されて一酸化窒素(NO)が産生されます。この一酸化窒素(NO)が血管拡張を促す作用を持っています。

少し難しい話になりましたが、当時は一酸化窒素のような気体が、私たちの体内で症状改善のために働いてくれるという発見は大きなものでした。

この研究・発見が生理学・薬理学の発展に貢献し、現在の医療に繋がっているのです。

なぜ舌下服用なの?

ニトログリセリンは、先述の通り舌の下に含んで自然に溶かして服用します。

これは、飲み込んでしまうと肝臓で分解されてしまい、ニトログリセリンの効果が無くなってしまうため、舌下で溶かして舌の粘膜から体内に吸収する方法をとっています。

舌下(錠剤)以外にも、口内噴霧や注射など、患者様に合わせて様々に展開されています。

狭心症を患っても安心して生活するために

「外出中に発作が起きたら…」
「急な痛みが怖くていつも不安」

そんな不安やストレスを軽減し、QOLの高い日々を過ごすためにニトログリセリンは存在しています。

もちろん、医薬品として処方されているため爆発を起こす心配はありません。ご安心ください。

笑う男女の写真

ニトログリセリンも誤用によって動悸やめまいなどを起こす危険性があります。
誤った服用をしないためにも、必ず医師と薬剤師の判断の元で服用をしてください。

また、ニトログリセリンを服用しても胸痛がおさまらないときは、他の疾患による痛みの可能性もあります。

不安のある方は、早めの受診と検査をおすすめします。

気になる症状がみられたら

気になる症状がある場合は、
早めの受診をおすすめします。

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