末期心筋症に劇的な効果

「ドール手術」すでに15例

広がった左心室縫い縮める

鎌倉の病院でこの一年間

 湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)の須磨久善副院長ら心臓血管外科グループは,心筋こうそくのために拡大した左心室を内側からきんちゃく袋のように縫い縮める「ドール手術」を今年一月に日本で初めて実施,これまで患者計15人に行ったことを明らかにした。高齢などで,心移植の対象になりにくい虚血性心筋症患者の救命に役立ちそうだ。

 この手術はモナコの病院のビンセント・ドール医師が考案。閉塞した冠動脈にバイパス手術をして血行を確保した後,左心室の壊死した心筋を切開し,健常な心筋との境界線に内側から針糸をかけて縫い,きんちゃく袋の要領で口を縮める。心臓の容積が縮小され,健康な心筋だけが残る。

 須磨副院長は昨年12月,肥大した心臓の一部を切除し,心臓の容積を小さくして弱った収縮力を回復させる左心室縮小形成術(バチスタ手術)を日本で初めて実施したが,広範な心筋壊死を伴う虚血性心筋症には対応しきれないため,ドール医師から教えを受けたことのあるドール手術を行うことにした。

 15人の平均年齢は60歳で,最高齢は78歳。2カ月以内に3人,4カ月以内に2人が心機能は回復しながら脳こうそくなどで死亡。10人が生存し,うち6人は日常生活にほとんど制約が無くなった。

 須磨副院長は「バチスタとドールを組み合わせれば,治療の手の届かなかった末期的な心筋症を救命する手立てができる」と話している。

(1997.12.14 読売新聞 社会面より)

一般の方々へもどる  ホームページへ戻る