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| ホームページ運営を通して実感したインターネットのインパクト |
須磨先生がホームページを開設したきっかけは、10年後、第一線の手術現場を退いたあとの仕事場を作っておこうと思ったからだそうだ。先端治療を提供してきた自分のノウハウ、人間関係を、患者及び医師のために活用しよう、それには時間にも距離にも制約されないインターネットが最適というわけである。よって、須磨先生としては未だ準備段階のつもりで1997年4月に開設したのだが、1999年12月現在でアクセス数は23401件、相談メールが1246通、ほとんど広報せずともその反響は大きいものになっている。
「やってみるとインパクトが大きいとわかりました。これは始まりですね。今は第一線の現場にいますからメール相談の数が増えすぎると大変なのですが、そのやり取りは、なかなかやりがいがあると感じています。患者さんの不安がよくわかり、解答を得たときの喜びも良く伝わってくるからです。」
実際、先生と相談者のやり取りは密であり、メールだけでも信頼関係がつくられていくのがよく分かる内容だ。
| 医療情報公開とビジネス |
医療情報の提供という面でも、須磨先生のホームページは突出している。国内のホームページでこれほど詳しく1つの疾患に対する情報提供がなされているのは珍しい。しかし、米国では学会のホームページがそれぞれの疾患についての分類、様々な治療法、どの専門医に相談すればよいかまで情報提供している。実際、学会のホームページにアクセスして相談すると、世界のトップクラスの専門医が紹介され、個別にメールを送れば返事が返ってくる可能性が非常に高いという。
「完全にボーダーレスになってきました」学閥もステータスも物理的な距離も関係ない。一人の医師が自分の言うことが一番だと言っても通用しなくなりました。」
日本と比べて、米国の医療に対する意識、診療報酬システムは大きく異なり、必然性があって、インターネットによる医療情報公開の形が生まれてきた。日本でも患者側から強いメッセージが出てきて、それをメディア機構が間に入ってビジネスにしてゆくことで本当に役立つ情報公開が実現するのではないか、というのが須磨先生の見解である。
「私のところへ来る相談メールも一日4〜5件なら一人で対応できますが、これが一桁増えたら人も要るし、ランニングコストも高くなる。知的財産を無差別に提供するのには限界があります。ニーズが高まったとき、継続しようと思えばビジネスにせざるを得なくなる。」
すなわちニーズの高まりはビジネスを生み、競争の原理によって情報の内容、質が洗練されてゆく、というわけだ。
| 医療機関にとってのホームページの役割 |
須磨先生は日本の診療報酬システムが出来高払制から定額制に変わり、病院が生き残りをかけて努力をしなければならなくなったとき、されにホームページの役割も大きくなるだろうと予想する。診療報酬システムの定額制への以降は、粗診、粗療の元だという意見もあれば、無駄な医療をなくし、質の高い医療を提供してベットの回転率を高めることのできる病院だけを生き残らせるという見方もある。いずれにせよ、患者側が情報を集め、吟味する時代は目前であり、その情報入手手段の最大がインターネットであることは明らかだ。
「ホームページを持たない病院は存在しないに等しい。第1次選考からはずれてしまう。ホームページを持っていても中身がなければ信頼できません。実績があれば公開できるけど、なければできないわけだから、第二次選考で落とされる。ウソがあれば皆が見ているからすぐばれてしまう。まな板の上に乗ることになるのですよ。」
医療情報とインターネット、そして医療従事者と患者。これらは互いに絡み合って日本の医療を変えてゆく。その繋がりがはっきりと見えてきたとき良質の医療への道が開けるに違いない。