心臓縮小手術が増加

20例超し保険も適用

末期前なら安全 移植対象患者にも

心臓移植が必要な拡張型心筋症の患者の心臓の一部を切り取って縮小し、心機能を回復させる「バチスタ手術」が今年一月から保険適用になり、手術に受ける患者が増えている。全国の手術数も二十例を超えた。昨年十月に臓器移植法が施行されても心臓提供者がなかなか現れない中、移植の対象になる患者に手術するケースも出ている。

 拡張型心筋症は血液を全身に送り出す心臓の左心室が風船のように膨らみ、ボンブ機能が低下する進行性の難病。日本臓器移植ネットワークに登録される心臓移植希望者のほとんどがこの病気だ。

 バチスタ手術は左心室の心筋を三分の一から半分程度切り取って縫合、心臓の大きさを元に戻し、収縮力を回復させる。一九八○年代にブラジルのランダス・バチスタ博士が開発した。


左心室縮小のバチスタ手術をする
湘南鎌倉総合病院のチーム

有効認められ始めた

須磨久善・湘南鎌倉総合病院長 手術の有効性が認められ始めた。保険適用で負担が減ったことも患者増加の原因だ。手術後の心臓再拡張についてはまだ様子を見る必要があるが、一年半前から手術を始めた米国のクリーブランドクリニックでも、再拡張は確認されていない。もし今後出たとしても、移植へのつなぎとしては期待できる。

 日本では九六年十二月に神奈川県の湘南鎌倉総合病院(須磨久善院長)が一例目を実施。その後、近畿大や国立循環器病センターなどでも行われている。

 湘南鎌倉総合病院が昨年までに実施した手術は十五例。昨年は約一千万円掛かる費用に手術を断念した患者もいたが、保険が適用されるようになった今年は一月だけで三例実施、さらに三人が入院して手術を待っている。手術の相談も各地から次々と寄せられている。

 バチスタ手術は世界に広がって日が浅いため,評価はまだ定まっていない。しかし,同病院で手術を受けた十八人のうち十二人が生存。七人は日常生活に復帰、二人が回復過程にあるほか、三人が術後の入院中だ。

 死亡した六人のうち四人は心臓が停止するなどのショック状態での緊急手術で、残る二人も強心剤の点滴に頼る重症だった。執刀医の須磨院長は「点滴に依存する前に手術した七人は全員、劇的に回復している。末期症状になる前なら、安全な手術が可能で、効果が大きい」としている。

( 山口新聞 1998年2月1日 より)

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